週末に入る29日、予想通り日銀は追加緩和策を決定しました。現在、年間3.3兆円を購入しているETF(上場株式投信)を、倍増するというものですね。
他には、急激な円高トレンドになっていますから、今回、企業の海外展開を支援するためとして、米ドルの供給枠を、240億ドル(約2.5兆円)と、現行の120億ドルから倍増させています。
これは、前回の追加緩和策でのマイナス(ネガティブ)金利政策の影響で、収益が大幅に圧迫された、金融機関に対する救済的な政策なような気がしてなりません。
ざっきーです、こんにちは。
僕は、経営者専門の保険屋で、大好きなお客様にお節介を焼いて、その方の事業価値を向上させ、経営者の皆さんを取り巻くリスク(不確実性)からお守りするのが仕事です。
予想をすることはありませんが、可能性や、不確実性から、先手が打てることは、経営者の皆さんにとっては、とても大切なことだと思いますので、できるだけわかりやすく、知っていただきたい、伝えたいと思って書いています。
お伝えする現在の経済状況によっては、自分自身の仕事への影響がありますが、それだから発信しないということはありません。僕のいる生命保険募集人の世界って、リテラシーの低い方が多いので、ボトムアップを図るためにも、できるだけポジショントークをしないように心がけています。
なので、発表できないことも多いんですけどね(笑)まあ、そこは仕方がないっす。
という事で、久しぶりに、マクロ経済ネタです。
こんな僕の書くブログでも、楽しみにしていただいている方もいらっしゃって、よく言っていただけるのは、わかりやすく書かれているので、ポイントが理解しやすい、ということを言っていただいたりしています。
さて、再度、中央銀行の役目を思い出してみましょうか。
中央銀行は、政府とは独立した期間で、通貨の価値を守る番人としての立場で、金融政策を行う機関です。
では、金融政策の目的とは何かです。
これは一言で言えば、日本経済の健全な発展に資することに尽きます。
再度言いますが、通貨価値を守り番人として、物価の安定を図り、景気に不安があれば、金利の低下を通じて、企業や家計の消費や、投資を刺激して、需要を増やすことです。
これが、金融政策の一丁目一番地です。
でも、公定歩合がゼロになっちゃったので、量的緩和を始めたのですよね。そう、日銀が国債を年80兆円引き受けることによって、銀行を通して市中に出回るお金の量を増やした訳です。
これを量的緩和と言います。
そして、それも債券市場の7割強にまでなってきたため、次の一手として、国債を市場を通して銀行から買い取ることによって、対価として支払いをする訳ですが、それが日銀の当座預金口座、そこには、以前は0.1%の利付がされ、利息を銀行が受け取れたものを、一定水準以上はペナルティとして金利を取る。
これがマイナス(ネガティブ)金利政策という訳です。
さて、ここで、よく考えて欲しいのは、現在の段階で、国債の引き受け手は日銀になっているということですよね。
その日銀は、どこからお金を調達してきたのでしょうか?
ルックスルーすればわかりますが、日銀は、通貨の発行主体です。日本円の正式名称は、日本銀行券ですから。つまり、刷って国債を買っているのです。
さて、刷ればいいのだとすると、無限に刷れる訳ですが、この先はどうなると思いますか?簡単に考えれば、日本銀行券として印刷されている円の価値って、刷って刷って刷りまくれば、落ちてきませんかね?
これをダイリューション(希薄化)と言います。そう、通貨の価値そのものが、下落していくのです。そう、インフレです。ハイパーインフレとは、通貨が紙切れになり、銀行口座の数字など、金融商品の数字が意味をなさなくなることをいいます。
怖いっす。
でも、過去には「恐慌」という名で、何度も起きていることなのです。
ね、確かにデフレから脱するために、物価上昇をさせたい、というのが今の日銀の方針ですから、人工的にインフレを起こそうとしている訳でして、理にかなっているように思いますが、インフレって、適度な状況で、本当に止められるのか?って話ですからね。
あのね、理論で捉えることができないのが、お金、というか人の欲望の行動なんすよね。
人の行動ってのは、理解していれば、合理的に行動すると思われてますけど、現実は違います。
だって、どう考えたって、流行や、デマ、思い込み、集団心理などでおかしな行動をします。
ポケモンGOが流行ったって言って、任天堂という会社の利益がたいして上がるわけないのに、株価暴騰とか、、、
マイナス金利ってだけで、貯金から、投資信託へ乗り換えるとか、、、
ちょっと日経平均が上がったぐらいで、これからは株式投資ですねとか、、、
ね、明らかに人は合理的な行動をしていませんよね。そう、しないんですよね。人は、非合理的な行動をするものなのです。
理論で考えれば、確かに、通貨の発行主体がお金を刷り続ける限り、国債は購入できるし、買い続ける限り、政府も破綻はしませんよね。そして、そんな状況が続けばインフレーションが起きますが、それをコントロールすることなんてできるんでしょうか?
いままでの経済危機のほとんどは、コントロールできなくなって、恐慌になったんですよね。
これ、歴史が証明してるんだけどな~
資源がなく、海外から購入するしかない国である日本が、価値の交換手段としての通貨の価値を落とし続けることは、未来はどうなるんでしょうね。
それに、僕らの価値の保存機能である、通貨の価値が下がるってことは、数字としての尺度は変わらなくても、価値は下がっていってしまうんじゃないでしょうかね、、、
なんか、やな感じだよね。
さて、話を戻しますが、
結論を言いますと、
日銀は明らかに打ち手がないのです。
打てる手があるとすると、マイナス金利のさらなる拡大がちょっとできるぐらいですが、明らかにネガティブな影響が大きいのが実情です。
その他は、現在年80兆円分を買っている国債購入による量的緩和の拡大ですが、現時点でも債券市場が、市場としての機能が薄くなっている状況では、これ以上の拡大は不可能です。
まあ、そこが見透かされているから、海外投資家による日本株式が大きく売られ、円高が進むんでいる訳です。しばらくは、この状況が続くんじゃね、って思います。
もう一回ぐらいは、年内に、ドル円、100円割るんじゃねっすかね。
だから、打つ手がなくて、ETFの購入を、年3.3兆円を倍にすると、、、
でも、それあかんぜ、株価を金融政策のターゲットにしてるようなもんじゃないっすか!
株価を国がいじってる国って、中国と日本ぐらいです。
ほんと、中国のこといえないっすよ(笑)
ねえねえ、株価を上げて、日本経済にどうゆう影響があるのか、説明できる人はいますかね。
僕は、自分のポートフォリオ上、ほとんどが株式なので、いいちゃいいんですが、でも、今、現金化することはないっすから、ある意味、意味なく上がっても仕方がないっす。
確かに、株価ってのは、低いより高い方が良いのです、確かに消費も刺激されるますよ。でも、だからって、経済全体の景気刺激までになりますかね?
こんな日銀がETF買って、株価を無理に引き上げたって、そんなのは持続的でないし、実体経済がついてくるとは思えませんから、実際の経済には恩恵が出るとは思えないんです。
本当の実体経済が良くなって、その結果、企業の価値が上がって、株価全体が上がるということでしか、経済は良くならないはずなのです。
だから、金融政策じゃなくて、政治の力で、岩盤規制を壊していかないと、、、それが、政府のする事なんだけどな。みんな既得権があるし、現状維持がいいんだよね、いまの水準がぬるま湯でいいんだ。それは、僕も、現状が劇的に変わるの怖いから、格好つけて、岩盤規制反対!とかって言えるほど、自信はないけどさ、、、
出生率も低く、労働人口が減って、高齢化が急激に起きていて、団塊の世代も消費する年代から、更に高年齢の世代に移りつつある現在、黄昏の国になる事は十分理解できます。
今の低負担、中配分の社会保障制度など、維持できるわけもなく、そもそも、税収そのものが回復しなければ、富の分配そのものが少なく、どう考えても、現状が維持されるわけがありません。
残酷ですが、高負担高分配の北欧型にするか、低負担低分配の米国型にするか、議論さえされない現状は、忍法問題先送りの術の極みです。
つまり、結論としては「自己準備」となります。
さて、今回の株価をあげるなどという金融政策をとって、一時的に株価が上昇したとしても、もっと長い目で見ると、どうでしょうか?
超長期的に見れば、財政出動の規模は大きく、実質的なバラマキになってきてますので、結果、円の信認は失われ、ハイパーインフレに向かうことは、間違いないとも思われます。
そうであるとすると、「自己準備」は「日本円」でするのはいいのでしょうか?
今の時点で、僕らができる事は、ドル円が大きく下落(円が上昇)した局面ではドルを買い、更に、そのドル資産はインフレヘッジできるものがいい、と考える戦略がいいのかもしれません。
通貨とは、価値の交換手段であり、価値の評価基準(尺度)、そして価値の保存機能ですけど、今、起きていることは、通貨の番人である中央銀行が、何かおかしな事をしている状況であるのです。
どなたか、わかれば教えて頂きたいのです。
「物価が上がれば、賃金はあがるのでしょうか?」「株価が上がれば、景気は回復するのでしょうか?」
これ、逆じゃね!おかしなことが起きているなら、自分の頭で考えて、「自己準備」するしかないんですよね。
木﨑 利長
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
(※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)
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