「パナマ文書(Panama Papers)」という、とある弁護士事務所の書類が公開されてしまいまして、パナマという租税回避地(Tax heven:hevenは避難地の意味で、heaven天国って意味じゃないので注意、どうもこれが印象を歪めている気がする)における様々な個人・企業の節税行為の一部始終が公開されました。
これによって、アイスランドでは、首相は、あれよという間に辞任に追い込まれてしまいまして、イギリスのキャメロン首相などにも飛び火している模様です。
詳細は、ICJC(International Consortium of Investigative Journalists)の「The Power Players」というHPに乗っていますが、ポイントは、現在、公開されているのは一部に過ぎず、5月には、すべての個人名・企業名が公開される予定とのことです。あーあ。
まえがき
ざっきーです。経営者専門の保険屋さんです。経営者の皆さんの事業の価値を向上させて、経営者のビジョンを下支えし、経営者の皆さんを取り巻く様々なリスク(不確実性)からお守りすることを仕事としております。
コンサルタントではありません。僕は、保険屋ですから、大好きな人をお客様として関わりますが、関係のない方から、フィーを払うからと言われても「お断り」です(笑)
滅多に納品をしない仕事が、生命保険募集人です。お客様の状況は刻々と変わるので、それを感じながら、寄り添えないと、本当の意味でのリスク(不確実性)からお守りすることなどできません!
損得の話ではないのです。コンサルであれば、PDCAのPlanだけだったり、PDCAプロセスのチェックだったりでいいのかもしれませんが、僕の仕事は、結果を出さねばならないのです。しかも、その時は、大部分が未曾有の危機です。そんな事態になると、経営者は孤独になります、そして人も離れていきます。でも、だからこそ、聞きたくないことを言い続ける役割の人も必要になります。僕もなかなかできませんが、今までの経験が、一歩前に出ろ!と、自分自身を動かします。だって保険屋だから。
そうゆう意味では、この租税回避地を利用する話は、損得の話で、誰のための損得なのか、という点がポイントになるかと思います。
さて、本題
節税目的でタックス・ヘイブンにペーパー・カンパニーを設立するのはビジネス上当たり前のことであり、それ自体が法的に問題のある行為ではありません(私自身も、ファイナンス分野においてですが、弁護士に依頼して、こういう仕事をやりました・・ケイマンばかりで、パナマは見たことがなかったですが)。
もちろん違法な脱税行為をするのは論外であり、今回のリークでも、違法行為が確認されれば即座にアウトということになります。ここです、租税回避地を利用することは、法的には違法ではないのです。それを超えて強欲だというのは、自分の胸に手を当てねばなりません。
しかし、仮に違法でないとしても、世界のリーダーが巨額の資産を税逃れのために国外に移していたとすれば、道義的・政治的責任を追及されることになります。特にグローバル企業の徴税が政治問題となっている中で、こうした政治家が課税逃れを画策していたとすれば、クレディビリティがゆらぐことは避けられません。
特に租税回避というのは、税逃れの話ですから、税で報酬を得ている人(官僚)や、税の分配に関わっている人(政治家)は、そもそも租税回避行為をすること自体が、問題のある行為と言われても仕方がありません。ここには本来、線引きが必要です。
租税とは?
日本の場合ではありますが、租税とは、国や地方公共団体が行う、様々な経済活動を支える主な財源であって、日本国憲法では納税の義務が、国民の三大義務の一つとされています。
また、租税の徴収にあたっては、公平の原則が大切となり、公平の原則には、所得や消費額が、同じ者は同じ負担をするという水平的公平と、所得の多い者はより大きい負担をするという垂直的公平の、2つの観点があります。
現在の租税制度では、所得の多い者ほど税率を高くする累進課税制度をとり、配偶者や子どもなど、扶養が必要な人たちには、課税対象額から配偶者や子どもを扶養するための費用を差し引く、控除制度を設けています。
また、権力者による恣意的な重税が、しばしば人びとを苦しめたことから、新たに租税を課したり、それを変更するには法律による、という租税法定主義の原則が憲法に定められています。
ね、法を定める人や、その法に定められた税によって生活を営む人が、租税回避行為をするというのは、原理原則がか違っていますよね。
ただし、現在の資本主義の世界では、資本の目的は、利潤を増やすことであり、そのためには、自国政府の言うことを全面的に聞く必要はないというのが、資本の論理を体現した多国籍企業や、自らが稼いだ富裕層の言い分です。
だから、租税がないか、極めて低い租税回避地(タックスヘイブン)の利用は、多くの国で認められています。
グローバリゼーションに伴う、国境を越えた協業を円滑に進めて、投資を分散するのに便利だからですし、世界規模でビジネスを展開する総合商社などは、情報を公開した上で租税回避地(タックスヘイブン)を利用しています。
ざっくり、ルックスルーしますと、上場企業など、株主の利益のために租税回避地を利用するのは、法の上では当然だけど、個人や、個人のペーパーカンパニーで個人資産について租税回避地を利用する場合は、どこからその資産が来たのか!これが重要なキーとなります。
でも、租税回避地(タックスヘイブン)の特徴の一つは秘匿性、そのアカウントの持ち主が誰であるのかがわからない、素性や利用者の匿名性にあり、その点はとても問題になります。今後、開示への圧力がさらに加わるかもしれませんね。
で、どこに影響が出そう?
民主国家であれば、租税回避地の利用は、基本的には個人の取引として終わる話です。ビジネス界出身の政治家であれば政治家になる前にかかる取引を行っていることは自然でしょうし、最悪、アイスランド首相のように辞任に追い込まれるかもしれませんが、影響はその限度にとどまります。
しかし、中国、ロシア、マレーシアといった権威主義体制においては、体制の正当性そのものに直撃する可能性があります。今のところこれらの国々は強権で抑え込んでいますが、どこまで影響が波及するのか注目です。
また、さらに重要なポイントは、この問題が示しているのが、むしろもっと大きな、現代の高度情報社会において、情報の透明性がとどめようもなく進展していくという現実です。
ウィキリークスからスイス・リークス、そして今回の「パナマ文書」に至るまで、これまでエリートが独占してきた情報が、どんどんと暴かれる時代になっています。
これは政治や経済の安定性を揺さぶるという意味で大きなリスクにもなりますが、違法行為や脱法行為を困難にする、あるいはそういった行為を阻むためのスキームを強化する契機を提供する、という意味では、ガバナンスの向上をもたらすとも評価できます。
多分、「パナマ文書」は、それ自体のインパクトは思ったより大きいものではなく、限定的な結果にとどまるかもしれませんが、どこかで、本当の姿が暴露される可能性がある世界になった、ということではないのでしょうか?
時代の流れをとても感じます。
なお、現時点では米国のエリートが出てきていませんが(笑)だから、中国とロシアを追い落とすためのCIAの作戦だという噂もあるようで、最近の噂としては、巨大な財団を運営するクリントン夫妻とか、大富豪のトランプさんとか、何か出てくるかも、そうしたら、アメリカ大統領選挙は混乱が必至ですね。
唯一の利上げのできる経済大国、米国のアキレス腱になるかもしれませんね。
ちなみに、租税回避地(タックスヘイブン)の置かれている国や地域は、今回のパナマや、ケイマンなどカリブ海の島々や、マン島などの大西洋の島々です。
これらは、旧英国領です。そして、ロンドンのシティこそが世界最大の租税回避地です(笑)だから、世界有数の金融センターなのですね。気づきました?キャメロン首相が追い込まれるのも、こんな背景もあります。
木﨑 利長
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
(※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)
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