浦和には7つの浦和の名が入る駅名がありますが(浦和美園を入れると8つw)決算書の中の損益計算書には、5つの損益がございます。まあ、ご存知ですよね。
決算書とは、経営者の対外的な成績表です。確かに、たかだか数字で、その経営者や、事業そのものの価値を推し量ることは、できないんだけど、、、
それでも、銀行の融資審査の基礎となる銀行格付けにも、信用調査会社の信用格付けにも、そんな「数字ごとき」が逃げ場なく影響しちゃうんで、せめてその数字の意味や、表現方法を意識するだけで、見え方が変わるんであれば、お節介をさせていただきたい!という、スタンスの保険屋さん、ざっきーです。
決算書が経営者の成績表であれば、経営者の仕事というのは、究極、この成績表をよくすることです。まあ、言葉をもっと選べば、成績表が良くなるように、経営判断を続けられていく、といった方がいいのかもしれませんけどね。
その成績表、今までも何度もブログで書いておりますが、今日はその中の損益の話です。しかも、それを銀行は、どんな視点で見ているんだろう、というところを書いてみますね。
もう、僕は、ざっきー、経営者専門の保険屋さん。大好きな経営者にお節介をさせていただき、財務という視点で事業価値を向上させる貢献を致しております。企業の究極の目的は「継続」することなので、継続性を担保するためには、誰が見てもいい会社、つまり財務の格付けの高い会社になっていただくことが、一番の近道です。
また、「継続」していく中では、様々なリスク(不確実性)が発生しますので、それらから経営者の皆さんを、ファイアンスの面から応援させていただくのが金融機関の仕事です。特に保険屋さんは節税が仕事ではありませんし、節税とは利益を圧縮することなので、経営者の皆さんの成績表への影響があることも、頭の片隅に置いておいてくださいませ。
さて、その成績表である決算書の中の損益計算書には、5つの損益がございます。縁起がいいように、利益で表現しますね。
1)売上総利益(粗利とも言います)
2)営業利益
3)経常利益
4)税引き前当期利益
5)当期純利益
です。まあ、ご存知ですよね。ではここで、ちょっとおさらいをさせてください。
1)の売上総利益は、「売上高ー売上原価」ですよね。イメージとしては、すべての事業継続の源泉となる、外部からの資金が売上ですし、そこからその売上に連動して変化する変動費である売上原価を差し引いたものとなります。
粗利と言われる所以は「そもそもざっくりどれぐらいもうかりまっか?」という話で、粗利が低すぎるとか、粗利が出ないというのは、商人としてあかん!ということになります。時代の変化もありますから、5年ぐらいの数字を眺めてみるのが効果的なんだそうですよ。
つまり、売上総利益を見るポイントは、いくら売上が極大化しても、売上原価も同じく増大するわけで、額ではなく「率」がポイントとなる訳ですね。もちろん、原価がかかるビジネスもあれば、原価がかからないビジネスもありますから、この売上総利益は、粗利「率」を同業種と比べてどうか、という基準して、見られていると思った方が早いかもしれません。
2)の営業利益は、売上総利益から、固定費である販売費及び一般管理費を差し引いたものです。そう、事業そのものの「儲け」を表しますので、本質的には最も、経営者の経営能力である儲ける力を表現している指標だと言われています。銀行マンの誰に聞いても、重視している利益となりますし、財務分析をする際の指標にも、数多く使われますので、めちゃ重要です。これ、ご存知だと思います。
ここで、ポイントがあって、販売費及び一般管理費、略して販管費の中についても、銀行マンは、ざっくりこんな見方をされているのを、知っておいてください。
オーナー企業の場合、役員はほぼ同族ですので、役員報酬は固定費とは見なさず、利益として見ているということです。営業利益がマイナスなのに、役員報酬が過去の決算書から比べ、減っていない場合、経営者の危機感も、本気度も薄いので、融資に関しては稟議書を書きにくくなります。これ、ポイントですよね。
僕もクライアントさんから教えてもらったのですが、役員報酬をきちんと取った上で、個人の資産形成を行って、いざという時の緊急予備資金を作っておくことがとても必要なんですって。
個人で得た報酬ではあっても、消費に回しすぎないで、金融資産形成がきちんとできれば、危機の際には役員報酬を落とせて、銀行との関係も良好だし、そもそも、融資している銀行の個人口座にちゃんとまとまった預金があることが、銀行にとっても追加融資等の稟議書を書きやすくする要因となるし、取引振りも充実しているので、一番いい方法だと。
至極、納得できますよね。僕もこれに倣っているので、個人事業主という立場ですが、使ってくださいというフリーローンの枠、めちゃ安い金額で、開設されちゃってますもん。実際にはやっていませんが、為替が相当にドル安円高になったら、この資金でドル買おうかなって(笑)手数料とか金利とかは考慮しますが、タイミングは一瞬なので、他の金融資産を現金化している時間を買えますからね(笑)やりませんけどね、頭の体操です(笑)
それに、そうやって役員報酬は固定費ではなく「利益」なんだという意識を持つことで、利益が出た時にはちゃんと取り、下がった時には下げ、という戒めにもなるし、とうことだそうです。
確かに、役員報酬については、定期同額給与という使いづらさはありますが「役員報酬は利益なんだ」というイメージが、とても大事だと視点を持っておくことで、結果、問題なく事業が継続できれば、いつの間にか個人の金融資産形成ができているし、そうなれば、勇退退職金など取らずとも、後継者に事業を無理がない形で引き継げるし、引退が自分の意思でしやすくなると。この視点は、僕も応用させていただいている視点です。
3)は経常利益です。日本の会計にしかない利益です(笑)そう、世界の会計基準ではこれはありません。
本業に関係がない収入と費用を考慮した利益と言いますが、本業以外の利益の大部分は、受取利息や配当です。それ以外の収入がある場合、それは会社の定款に業として載っていないからであって、費用がかかっても定款変更をして、本業の利益である営業利益を大きくした方が、分かりやすいですし、財務格付け上も向上しますよね。
営業外費用の大部分は、支払利息ですから、よく考えるとこの経常利益というのは、事業の中の資金取引の部分を分けて利益への影響がわかりやすいようになっている指標とも言えます。日本の場合、資金調達方法の大部分が銀行融資による関節金融での調達という特殊な状況があり、資金調達もコストなのに、本業の成績である営業利益とは別の経常利益という項目でチェックすることで、ある意味、銀行融資の事業への影響をわかりにくくしている、とも言えますし、だからこそ、2つの利益を作ることで、対外的には説明をしやすくしているとも言えます。
こんな視点で、銀行マンは見ていますから、営業利益と、経常利益は、合わせて考え、しかも時系列で見ておかないとまずい、ということになります。
4)の税引き前当期利益は、経常利益から、その会計時期に、突発的に派生した「特別」な収入と費用を考慮した利益です。まあ、その名の通り、これに法人税が掛かる訳です。法人所得とも言いますよね。
ちなみに、法人税と言いますが、法人所得にかかる税のことを法人税といい、これ以外に法人住民税(ざっくり言うと資本金の規模にかかるもの)と、法人事業税もあります。
法人税は、2段階になっていて、法人所得が今の税制だと800万円を超えると、最高税率となります。よく、保険屋が節税とか言って法人諸税の実効税率を約40%弱(復興税や、地方税など考慮すると38〜40の間ぐらい)で表現しますが、あれは、この法人所得が800万円を常に超えている今の法人税の税率での試算なんですね。
ちなみに法人税は、今後は下げてくる方針を、政府は明らかにしていますので、税効果というのはあくまでも現在の税制と、最高税率での試算なので、要注意なんですよね。まあ、節税というのは、この法人所得が800万円をコンスタントに超えてから方がいいような気がします。僕はそう考えていますけどね。財務を理解して、顧客の利益に本当に貢献する保険屋なら、同じ感覚かと思いますが(笑)どこの業界も、業界の常識は世間の非常識です(泣)
また、特別損出というのは、恒常的な費用でなければ計上できますので、実は、役員保険などという、事業の緊急時には解約してしまうような費用を、こちらの項目で計上したり、退職金などという中小企業では恒常的ではない費用も、販管費で計上するのではなく、こちらで計上することもあります。これが財務の視点です。
なぜなら、銀行格付けや信用格付けに関わる利益は、営業利益と経常利益であって、税引き前当期利益や繰越利益剰余金に算入のできる当期純利益ではないからです。
5)の当期純利益は、その名の通り、本当の利益。まあ、税引き後の利益ではありますが、この法人税を支払った後のこの利益だけが、繰越利益剰余金として、純資産の部に組み込まれ、自己資本比率を高めることができます。
財務分析等では、特に関わるわけではないのですが、本質的には、これを積み重ねることでしか、自己資本比率を高めることはできませんから、そういった点では、繰越利益欠損金などがある場合、会計上は課税されても、実質の納税はありませんので、積極的に自己資本比率を高めるチャンスとして捉える経営者の方もいらっしゃいますね。
とうことで、まとめますと。
1)売上総利益(粗利とも言います)
2)営業利益
3)経常利益
4)税引き前当期利益
5)当期純利益
となります。注目されているのは、赤の2つの利益なんですね。さて、ようやくお伝えしたかった、営業利益と、経常利益のバランスを、最後にお話ししますね。
営業利益も、経常利益もプラスなら、その後の利益がマイナスでも、まあ、特殊事情があったのか、となりますが、この営業利益と、経常利益のどちらもマイナスとか、どちらかがマイナスの場合、どうしてなのかの積極的な説明を、銀行マンは待っています。だって、これって融資をしている方からすると、イエローカードなので。
ケース1)営業利益マイナス、経常利益プラス
この場合、銀行マンの視点は、営業外損益の内容に注視することになります。本業の利益がマイナスの理由が、本業の収益性であれば、超、問題です。
ところがたまにあるケースですが、退職者が重なって、販管費が大幅に上がった、何てケースがあります。これ、説明しないといけないし、そもそも、特損にすればいい話ですよね。これ、考えて実行するのは、財務の最終責任者である経営者の皆さんです。税理士さんの業務ではないので、要注意です。
要は、理由なんです。本業以外で損失が出たとか、理由によってはあかんものの、説明すれば済むこともあります。でもね、そもそも財務での、事業そのものの表現がわかりにくいのが問題なんですね。
ケース2)営業利益プラス、経常利益マイナス
この場合、内容にもよりますが、多くの場合、支払利息が大きすぎる可能性を、銀行マンは意識することになります。そうですよね、営業外損益の要素で、投資有価証券の損出とかって、滅多に計上されませんし、それこそ特別損失に計上しますよね。考えられるのは、営業外費用の増大となりますし、その最も代表的なものが支払利息です。
支払利息が、本業の利益を圧迫している、という状況が一番まずいかなと。これじゃあ、何のために事業をやっているのか、利息で利益が圧迫されるというのは、会社はそこに参画するすべてのステーキスホルダーに、利益配分がなされる価値を生む出す仕組みですから、これは、もうやってられない!と参加者が言いかねない状況とも、捉えることができます。会社は一人ではできませんからね。
ならば、銀行マンなら、金利下げれよ、となりますが(苦笑)、これ、言わないでくださいね。「だったら金利下げろ」ってのは、無条件で値引きしろ!か、あるいはもっと払え!って取引先にいうことですから、理屈が通らないのです。金融機関の担当者の本音と建前を思いだしてくださいね。僕も最近、この意味がよくわかってきましたから、今までの自分が間違ってたことも含め、あえて申し上げますね。
それに、実務上も問題が生ずるのです。この融資条件の途中での変更というのは、リスケとなりますから、それは、銀行の取引先として、要注意先に区分変更される、ということを意味します。当面の間、追加融資は不可能ですし、これこそ信用が毀損することなので、できるだけやるべきではない。という判断になります。
これ、銀行マンも同じで、リスケなんかしたくないのは、自分の成績や、銀行の利益が減るからだけではなく、その後の融資ができなくなる、つまり、銀行としても、担当者としても、何もできなくなることを意味しているからなのです。
リスケまではいかなくとも、例えば融資額の残高合計が、売上高の半分となると、融資そのものを追加できなくなります。だって、返済できなくなりますからね。ここからが、大変で、自分の銀行の融資額を減らすということを、なかなかできないという、二律背反の問題を抱えることになります。だから、経営者の皆さんがお考えになる必要があるし、数行との担当者と、分け隔てなく付き合うことや、メイン、準メインの序列、そして本質的な関係性を意識しながら、どうしたら、融資残高そのものの減額を進めることができるのか、というスタートラインに立つこととなります。
僕は、どこまでできるかわかりませんが、実際に取り組ませていただいた案件からの実感から、経営者の皆さんの覚悟が決まれば、必ず、このような状況を脱することができます。小手先ではないし、ある意味、痛みもありますが、それでも融資が多く、返済できないというのは、最もリスク(不確実性)の高いことだからです。
未来は無限の可能性があるからこそ、今を生きられます。経営者の皆さんにとって、自己資本と他人資本というのは永遠のテーマです。そんなところに、少しでもお役に立てれればいいなと思います。
「いいよ、そんな話」と言われるのも承知で、お節介をさせていただきます。これは僕の覚悟です。経営者の皆さんのビジョンが共有できて、それを達成したい!とか、現状に満足ができていない、少しでも改善したい、少しでも良い明日のために一歩前に出るためにも、できることはやってみよう!という方に寄り添いたいな。今が二度とないことを、僕は保険屋さんだから、知っているからかもしれませんけど。
木﨑 利長
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
(※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)
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