さて、まずは、こちらから
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは2日、
定時株主総会を開いた。
過去最高値圏にある米株式相場についてバフェット氏は
「米国のビジネス環境が良好なことを示している」
と高値は許容できるとの見方を示す一方、低金利が支えになっているとして
「通常の水準に戻るなら割高に見える」と話した。
(引用 日本経済新聞2015年5月3日版)
金利上昇局面であることに注意
アメリカ経済については、まだ、力強さがあるものの、
特に、日本においては、消費税アップもあり、
消費に関しては23か月連続マイナスで、
実際には景気は悪いし、
建設業や製造業の一部で、公共事業によるカンフル剤が
効いていますが、ずっとある訳ではありません。
なのに、なぜ、アメリカ経済より実質的にはマイナスだし、
円安という上げ底があっての日本経済なのに、
株価が上がっているのでしょうか?
それは、債権の金利が、極限まで安いからです。
この説明で、なるほど!
と言っていただければいいのですが、
わかりにくいかもしれませんので、
噛み砕いて説明しようと思います。
これを理解するのに、わかりやすいのが、冒頭の発言。
バフェットの上記発言を、読み解くとわかります。
アメリカの中央銀行であるFRBによる
金融緩和の効果を肯定すると同時に、
「(金利が)通常の水準に戻るなら割高に見える」
と発言したとされています。
つまり、
金利がそれなりに高ければ、
わざわざリスクの大きい、個別企業の株式に手を出す必要はなく、
債券で運用すれば良い訳で、
金利上昇局面では、株式から債券へ資金が流れる。
というファイナンスの基礎がここにあります。
そうでしょ?
会社の資金、現預金にありませんか?
まさか、株式や投資信託になっていませんよね(笑)
自己資本比率が50%以上あり、
運転資金の余剰分を持て余してならわかりますが…
というか、会社そのものの資本収益率が、
債権の金利や、
株式や投資信託の利回りを上回っているから、
リスクをとって、事業を継続しているんではないでしょうか?
このように考えますと、
金利がそれなりに高ければ、
債券に比べ、リスクの高い株式の魅力が減少しますので、
株価下落につながるという表現もできます。
この視点は、
僕の師匠である板倉さんの指摘をまとめただけですが(笑)
とても本質を、突いているので、自分でも、噛み砕いてみました。
現時点の日本における、現在の高い株価水準というのは、
日銀などによる異次元の金融緩和によって、
結果としての緩和され、行き場を失ったマネーにより、
株価が支えられています。
これは間違いがありません。
となると、
現在の株価は、
本当に将来の企業業績を、
見込んでいますかね?
そして、
債権の取引指標である、現在の長期金利の水準は
超低金利となっており、
とうことは、
何か、起これば、
上がるしかない!という状況です。
で、賃金上がりましたか(上げれましたか)?
で、消費増えましたか(売上消費税アップ以上に増えましたか)?
で、消費税、またあがりますよね?
で、借入金の金利は固定にしましたよね?
で、固定にできなければ、期間を延ばし、金利上昇に備えていますよね?
そう、保険をかけないと、
怖くありませんか?
僕は、保険屋さんなので、リスクをヘッジすることが仕事なので、
そう思うのかもしれませんが、、、
でも、企業の経営者の方と話していると、
全然楽観視していなく、今のうちに新規投資や、
調達を行っていたりするかたもいらして、
肌で感じる環境変化の兆しを、じわじわ感じる訳でございます。
もうひとつの発言
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は6日、
ワシントン市内で開いた講演後の質疑応答で、足元の米株式相場に関して
「一般的に言うと、とても割高だ」と述べた。
米メディアが相次いで報じた。安全性の高い債券などと収益率を比べた場合、
株式の水準は「そう高くはない」としてバブルの懸念を否定した一方で
「潜在的な危険性はある」と語った。
FRBが利上げを始めた場合について「長期金利が急激に上がる可能性に
注意を払う必要がある」と指摘。
ただ、現状の金融システムを巡るリスクに関しては「高まることなく安定している」
と述べた。(引用 日本経済新聞2015年5月7日版)
普通によめば、順調に雇用拡大が続いているという
FRBのレポートだったんですけどね(笑)
FRBとしては、経済はほぼ予想通りのコースを走っている訳であり、
これをもってして利上げのタイミングが早まった、遅くなった…
などと言っている意味がわかりません。
まあ、金融業界というのは「ボラティリティ(しかも自炊)」が
大好物な業界ですし、そこからの広告が多いメディアということです(笑)
長く、面倒で、定点観測が必要な、雇用統計や、
FRBレポートなど、読んだりしないのでしょうか、、、
普通に、読んでいればわかりますが、雇用の回復に関しては、
あくまでも順調に行って、9月というラインが最低限(最速)、
場合、例えば、長期失業者やパートタイムの状況によっては、
更に先に延ばす可能性が高い。
というのが現時点でのベストシナリオで、
今回の雇用統計をもってして、何らかの方向転換を見込むのは
無理筋と思うのです。
更に、ずっとウオッチしているとわかりますが、
このペースで進んでいったとしても、
長期失業者の人数はかなり高水準のまま9月を迎えるので、
FRBの利上げの判断は、かなり難しいと思っています。
そんな中での、上記の発言。
まず、これはFRBとして正式に発表しているステーツメントには
書かれていない無い部分で、あくまでも講演後の質疑応答で
答えたものに過ぎません(笑)
FRB スピーチ集
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20150506a.htm
金融機関の中の人で、
市場にかかわっていれば知っていますが、
アメリカではこの オンレコ、オフレコを含め、
公式、非公式というレベルが大変厳密にコントロールされており、
FRBのページに乗ってもいないようなことは
あくまでも非公式発言であって、
それほど重要視されません。
非公式発言なので、これを取り上げて云々すること自体大変危険なのです。
もし、このやりとりが非常に重要な意味を持つ、
とFRBが考えたとするなら、
そのやりとりもFRBのページに載せられます。
ですので、この種のスピーチは原文を見るのはもちろん、
そのあたりまできちんと見ておくことが大切で、
よって今回の発言はそれほど重要視する必要はない、
という事になります。
とはいえ、経済が回復基調にあるアメリカでも、
利上げに関しては、これぐらい、
非常にセンシティブにとらえているのに、
日本は本当に大丈夫なんですかね?
しかもFRB議長と、当代きっての投資家が、
同じことを言っていますが(笑)
新築マンションがブームだそうです!
せめて、固定金利で調達しましょう、、、
今年の秋から冬にかけて?
さてさて、
では何ができるのでしょうか?
まずは、足元の資金繰りのチェック、
売上が下方修正された場合のチェック、
その上で、金融機関との条件の交渉。
決算の時期や、現在の状況、
財務内容や、おかれている環境、
全部違うとは思いますが、
現状を認識すれば、将来の変化の際に、
どうなるのかがわかります。
わかれば対策は打てますが、
わかってなければ、その場しのぎに、
でも、
この状況は、そんな猶予をくれるのかどうか。
まずは、現状を把握することころから、はじめませんか?
潮目が変わる前に。
木﨑 利長
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
(※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)
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