「カレーは食べ物ではなく、飲み物だ」ということわざがございました(笑)
このでだしのせいで、カレーのレシピをあげようかと思いましたが、
このブログ、レシピブログじゃなかったんだ、、、と思い出しまして(笑)
ちょっとは知っておいて頂きたい情報を、たまには書いて参りますね。
決算って、誰が何の目的で行うものなの?
さて、経営の通知表である”決算書”をとりまとめるのは、誰でしょうか?
会社法によると、
「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うもの」
とあります。
では、ここでいう「公正な企業会計の慣行」とは何でしょう?
具体的には、企業会計審議会が定めた「企業会計原則」や、財務会計基準機構の企業会計基準委員会が設定する「会計基準」などを指しています。
(なんか、めっちゃ会計学部出身ぽい w)
さらに、会社法では、会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表や損益計算書等)、事業報告、これらの附属明細書を作成し、株主などに報告する義務がある、としています。
再度伺います。さて、この作成責任者は誰でしょうか?
決算書をまとめる責任者は代表取締役です
一般的には、決算日のあと、2か月ぐらいで、顧問の税理士さんと打ち合わせして、法人税の確定申告書の書類がまとまり、その書類一式の中に決算報告書がございませんか?
なぜかというと、2か月以内に法人税の確定申告をしなければなならいからですよね。
税理士さん専任業務は「税務申告」の代行ですから、それはそうなんです。
その法人税の確定申告書の表紙に、会社名とともに代表取締役名で、印鑑が押されていますよね!
もちろん、経理担当者の署名や、顧問税理士の署名もあるとは思いますが、
一番大きくて、一番左上にある欄は、代表取締役ではないでしょうか?
決算は税務申告のためですか?財務経営のためですか?
会社法でも、決算の憲法である企業会計原則でも、こんな感じに表現しています。
「企業会計は、企業の財務状況および経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない」
さらに、
「株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等、種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない」
経営の通知表である決算とは、財務活動の結果を表現するものであって、
その企業の決算をまとめる責任と権限を持っているのは当たり前ですが、代表取締役です。
顧問税理士ではございません。
予算組があるなら、決算組があります。そうではないでしょうか?
決算組を、経営者が主体的にしないと・・・
私が関与した先で、こんな事例がございました。
電気制御装置を製作する、大手メーカー出身オーナー社長の会社での事です。
様々な課題がありましたが、僕がはじめて関わった時、売上が1億2500万円、売上総利益150万円、経常利益▲2500万円、、、
何か、おかしなことに気付きませんか?
そう、製造業で、粗利1.2%って、あり得ないですよね!
そんな事業、やめちまえ!(いいすぎです、ごめんさない)って感じです。
僕が関与したのは、クライアントからのご紹介でした。最初は、保険屋さんが何しに来るの?
って感じでしたが(笑)紹介者の強い意思がございまして、
「資金繰りがうまくいってないし、けっこう苦戦しているんだから、ちゃんと話すこと!」と、
強く言っていただいたようで(笑)決算書と、銀行借入明細が、事前に送られてきました。
その時、製造原価報告書や、販売費及び一般管理費をの内訳を見て気付いたんですけど、
ほとんどの従業員の賃金が、労務費として製造原価に入っていた訳です。。。
税務上は、何の問題もないけど・・・
確かに、損益計算書(P/L)のどこにあろうとも、「税務」上の税金が変わる訳ではありません。
でもね、こんな決算だと、粗利率も把握できていない訳でして、、、
なぜ、最終的な経常利益が赤字になっているのか、わからない訳です。
お会いして、真っ先にした質問が「御社の事業の粗利って何%ぐらいですか?」って。
でも、ケースバイケースで、よくわからないといわれました。。。
これ、相当な問題であること、伝わってますかね?
税務申告だろうが、会計処理だろうが、全部、金(経費)が掛かってる話では?
だって、一般論ですけど、大手メーカーからの装置って、大量に、同じものを作っている訳ではなくて、
モノによって粗利が違うの当たり前ですよね。
そうなんです、、、
製品別とか、プロジェクト別、会社別の粗利管理ができていないことが、決算書からすぐにわかりました。
別に、経営者の皆様は、税務申告のために会社を経営しているわけではなくて、
ちゃんと利益が出て、ちゃんと会社のステークスホルダーで分配できればいいのですが、、、
適切な利益を出すためには、そもそも仕事が、適切な利益なのかどうか知らないで、、、
できるはずがない訳です。
違いますかね。。。
でも、これってよくある話なんです・・・
簡単な、粗利率も確認できない決算を、大手メーカーら独立した当時から続けてきて、
なんとなく、経営を継続してきて、
どうも、儲からない、どうも、借入が増えるって、
それは残念ながら、なんとなくの結果が導かれているだけではないでしょうか。
顧問税理士さんが、最初に仕分けた通りのまま、その情報も活用しないで、粗利率も良く分からないという状況でしたが、
それじゃあいかん!という状況でしたので、
まずは、利益構造を確認するために、変動費と固定費を明確化して、検証可能な簡単な管理会計を行ってみました。
すると、なんと粗利率が45%から15%もの幅があったことがわかりました!
これだけではないのですが、その他の財務のチェックを行い、粗利率を最低40%に設定することで、
受ける仕事も変わりましたし、以前は受け身だった営業も変わり、取りに行く体制に変わりました!
決算は過去の数字ではありません、活用の仕方ひとつで大きくその付加価値が違います。
数字は数字だけど、活用の仕方がありあります!
ちなみに、その会社は、現在、粗利率60%を目指し、それに近いところまで来られています。
また、僕の訪問スケジュールでもある決算の2か月前に、「決算前検討会」を行っていて、
僕も末席に出席しています。
以前の税務顧問は変わり(笑)現在の税務顧問に、そのオーナー社長がおっしゃっていた言葉がございます。
曰く、「”決算前検討会”をしない税務顧問なら、税務顧問料の月額3万円(東京都での月額税務顧問料の平均額)しか払わない」って・・・
ちょっと待って(苦笑)以前はそんな事も知らず、もっと払ってましたよね(笑)
今後、この「決算組」というキーワードで、具体例を、少しづつ披露していきますね。
木﨑 利長
化学メーカーの住宅部門に約9年。1999年2月生命保険会社に、ライフプランナーとして参画。
具体的には、上場企業を含む約80社の親密取引先のご縁を中心に、生命保険契約をお預かりしており、財務や資金繰りといった経営課題ついての改善や、売上を伸ばすための営業研修など、お客様の事業価値を向上させるための具体的なソリューションを提供し、経営者の弱音をも受け止められる担当者を目指し日々精進中です。
(※このブログでの意見は全て個人の意見であり所属する団体の意見を代表するものではありません。)
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